相続土地国庫帰属制度(四日市市)

相続土地国庫帰属制度とは、相続や遺贈によって、土地の所有権や共有持分を取得した者が、申請により、土地を国庫に帰属させることで手放すことができる制度です。(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律)申請は、土地の所在地を管轄する法務局・地方法務局の本局に対して行いますので、四日市市の土地の場合は津地方法務局(本局)へ行います。(四日市支局ではありません。)

所有者不明土地問題の解消制度の一環で、不要な土地を相続した場合に、土地を手放すことが可能となりました。これにより土地が相続人により放置されることが解消され、公共の用途に使用するなどが可能となります。ただし、国としても土地の管理コストがかかりますし、用途として難しい土地を安易に手放すことを防ぐため、まずそもそも承認申請をすることができない土地の条件があります(却下要件・同法第2条3項)。また、申請はできたとしても、承認されない可能性がある土地の条件もあります(不承認要件・同法第5条1項)。さらに承認されたとしても、申請者は10年分相当の土地管理費用を負担納付しなければいけません(同法第10条1項)。そもそも有用な土地であれば、相続して売却することも可能と思われるため、制度の実効性については疑問がありますが、今後の運用も変化していく可能性があります。また制度対象は土地のみのため、建物は対象外です。相続財産全体の放棄としては相続放棄の制度があるため、預貯金等は相続したいが、相続財産の中に売却が難しい土地がある場合が、制度の利用場面として想定されます。

申請却下される場合としては、①建物がある土地、②担保権や使用収益権がある土地、③通路等で他人の使用が予定される土地(として政令で定めるものが含まれる土地)、④特定有害物質により汚染されている土地、⑤境界が明らかでない土地、所有権の存否、帰属、範囲に争いがある土地です。例えば①②については、相続した後で建物を取り壊したり、担保権を解除することで事後的に解消可能です。

不承認となる場合としては、①崖がある土地のうち、管理に過分の費用労力を要する土地、②通常の管理、処分を阻害する有体物が地上に存する土地、③除去しなければ通常の管理、処分をすることができない有体物が地下に存する土地、④隣接土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理、処分をすることができない土地(として政令で定めるもの)、⑤その他通常の管理、処分に過分の費用労力を要する土地(として政令で定めるもの)です。

申請には審査手数料として、土地一筆14,000円が必要です(取下、却下、不承認でも返還されません。)。また法務省資料によると、10年分相当の土地管理費用の負担金額の参考として、「現状の国有地の標準的な管理費用(10年分)は、粗放的な管理で足りる原野約20万円市街地の宅地(200㎡)約80万円」となっています。

*法務局資料「相続土地国庫帰属制度のご案内」より引用

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