自筆証書遺言のメリットとデメリット

自筆証書遺言とはその名前のとおり、遺言を残す人が自筆で記載する遺言形式のことで、一般的にイメージされる遺言のことです。遺言形式は他にも、秘密証書遺言公正証書遺言があり、それぞれメリットとデメリットがあります。

まず自筆証書遺言(遺言書保管制度を利用しない場合)のメリットとしては、①比較的簡単に作成でき、費用もかからない点です。また後に気持ちが変わって、②財産を残す相手の変更や、内容変更をしたい場合にも簡単に行うことが可能です。作成に本人しか関与しないため、③きちんと保管しておく限り、生前に内容を知られることもありません。(ただし、簡単に作成できるといっても様式を誤ると無効になってしまう可能性がある上に、簡単に作成、変更できる点はデメリットともなり得ます。)

デメリットとしては、前述の様に、①様式を誤り無効になってしまう可能性がある点ですが、遺言が効力を生じる時点は遺言者の死亡時(相続開始時)であり、後で気づいても取り返しがつきません。この点、専門家にチェックしてもらう方法もありますが、費用がかかり内容を知られてしまうこととなり、メリットが薄れてしまいます。また、有効な遺言を作成しても、亡くなった後に遺言者の意思内容が実現されないと意味がありませんが、②遺言書の所在を伝えていなかったために気づかれずに処分されてしまう、不利な内容の遺言を残された相続人が捨ててしまうなどの可能性が考えられます。

また手続上のデメリットとしては、遺言作成時には簡易に済みますが、亡くなって相続手続を行う前に、③「家庭裁判所の検認」の手続きが別途必要となります。時間もかかりますし、一般の方が行うには少し難しい面もあり、専門家に依頼するとすれば、費用がかからないというメリットが薄れてしまいます。また④自筆で書かなければならない(パソコンなどで作成できない)点は、人によってはデメリットともなり得ます。(ただし相続財産目録については、例えば不動産の登記事項証明書や預金通帳コピーに署名捺印することにより、内容自体は自筆不要となります。)

デメリットの①〜③については、法務局の遺言書保管制度を利用することにより解消可能です。ただしこちらも一般の方が行うには少し難しい面があり、専門家に依頼する場合には費用が生じます。

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